重金属類 分析 測定
【重金属類とは】
- 比重が4 – 5以上の金属を重金属といいます。
- 環境中(大気・水質・土壌)には、健康維持に不可欠な重金属もあれば、カドミウム、水銀、鉛、六価クロム、ヒ素など極微量であっても人体に有害な重金属も存在しています。
- 有害重金属が体内に取り込まれて過度に蓄積すると、肝臓や腎臓障害、脳障害などを引き起こし、また発ガン性を持つものもあると言われています。
【重金属類の動向】
明治時代、栃木県渡良瀬川流域で起こった足尾鉱毒事件が、わが国の公害問題の原点であると言われています。銅山から流出した鉱毒(銅をはじめとする有害重金属)が水田や田畑を汚染し、農作物への被害が発生しました。その後も熊本県水俣湾における水俣病(有機水銀が原因)、富山県神通川流域におけるイタイイタイ病(カドミウムが原因)など、有害重金属による甚大な公害が発生しました。
これらは、食物連鎖による有害重金属の大量摂取が原因であり、その有害性の大きさを社会が認識した事件でした。近年では工場跡地の再開発等に伴い、有害重金属による土壌汚染が問題化し、対策が進められています。
現在では、下の法令等によって対策が行われ、有害重金属による汚染や健康被害は少なくなりました。
【重金属類の人体への影響】
肝臓・腎臓障害、脳障害、発ガン性、神経障害、骨粗鬆症
【ムラタの取り組み】
これまでの経験と実績から、最適な調査・分析方法の選定を行い、サンプリング、分析から結果報告にいたるまで、迅速かつ高精度な対応が可能です。また、各種の技能試験への積極的な参加、最新技術の導入に力を入れるなど、新たな社会的ニーズにも対応出来るよう、日々取り組んでいます。最近では大気中の微小粒子状物質の無機元素成分の測定についてISO17025認証を受けました。
- 水質分析
河川、湖沼、海域、地下水、工場排水、下水など、あらゆる水質の分析を行っています。環境基準(昭和46年環境庁告示第59号)、排水基準(昭和49年環境庁告示第64号)に適合しているか否かを調べます。対象となる分析項目には、重金属類(カドミウム、鉛、六価クロム、ヒ素、水銀、アルキル水銀、セレン、ほう素)、その他(全シアン、ふっ素)などがあります。
- 環境大気分析
重金属類に関しては、国における環境基準の定めはありませんが、指針値が示されているものがあり、継続的な摂取によって健康を損なうおそれがあります。環境省が定める「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」に準拠した調査を行います。対象となる重金属類には、ニッケル、ヒ素、ベリリウム、マンガン、クロム、水銀などがあります。(写真:水銀分析計(大気・水質・固体))
- 土壌分析
環境基準(平成3年環境庁告示第46号)、汚染対策基準(平成15年環境省告示第18号および19号)に適合しているか否かを調べます。対象となる分析項目には、重金属類(カドミウム、鉛、六価クロム、ヒ素、水銀、アルキル水銀、セレン、ほう素)、その他(全シアン、ふっ素)などがあります。(写真:遠心分離器での検液作成)
- 産業廃棄物分析
産業廃棄物の埋立処分に係る判定基準(昭和48年環境庁告示第13号)に適合しているか否かを調べます。対象となる分析項目には、重金属類(カドミウム、鉛
、六価クロム、ヒ素、水銀、アルキル水銀、セレン)、その他(全シアン)などがあります。
【測定・分析機器】
- 高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)
高感度でありながら、多元素の同時分析が可能な分析装置です。試料を誘導結合プラズマ中に導入し、金属イオンを生成させ、これを質量分析装置において特定の質量数(m/z)の強度を測定します。誘導結合プラズマはICPと呼ばれ、その温度は約8000℃にも達するもので、金属分析においては一般的なイオン化方法です。
- マイクロウェーブ分解装置
テフロン製の容器(ベッセル)の中に試料と前処理試薬を入れ、これにマイクロ波を照射して、試料を分解します。通常の加熱による前処理方法にくらべて、高温高圧下での前処理が可能となり、短時間で効果的な分解を行うことができます。
- 原子吸光分析計
重金属類の分析機器として、最も広く用いられています。高温に加熱して原子化した金属はある特定波長の光を吸収することを利用して測定する方法です。当社では、比較的高濃度な試料の分析に用いています。(写真:水素化物発生装置付き原子吸光分析計)
【関係法令等】
- 水質汚濁に係る環境基準について(環境省HP)
- 排水基準(環境省HP)
- 土壌の汚染に係る環境基準について(環境省HP)
- 土壌汚染対策法(環境省HP)
- 金属等を含む産業廃棄物の埋立処分に係る判定基準を定める省令(e-Gov法令データ提供システム)