振動
環境問題の中で、私たちの日常生活に身近なものの一つとして、「振動」が挙げられます。
人が直接感じて心理的・感覚的に不快に感じるものや、壁やタイルのひび割れ・障子のガタつきなど地盤振動が家屋や建造物にまで伝播したりするような物理的な影響を及ぼすもの、発生源の種類や地盤の硬さにより局所的に起こる場合など、振動には様々な種類があります。そのため客観的に測定・評価する必要があります。
【振動とは】
- 振動は、その現象が地盤等を通じて伝播し、生理的・心理的・社会的な影響を及ぼします。
- 振動の発生源としては工場・事業場、建設作業、道路交通等が挙げられます。
- 一般的に振動として問題になるものは、発生源近傍が主で、約100 – 300mの範囲内です。
- 振動には方向性があり、対象物から水平方向(前後方向、X方向と左右方向、Y方向)、鉛直方向(上下方向、Z方向)に分けられます。
- 振動は一般的に、水平方向よりも鉛直方向のレベルのほうが大きくなります。
- 単位は「dB(デシベル)」が用いられます。
- 振動の伝搬状況を予測する場合、地盤の硬さの指標となる地盤卓越振動数を測定します。
【振動の規制と動向】
公害として問題にされる振動は、主に工場振動、建設作業振動、道路交通振動などの、人為的な発生源の地盤振動で、物理的な被害や日常生活に影響を与えるものを指します。
一般的に発生源より10 – 20mほどの距離で地震の震度1 – 3程度の範囲といわれています。発生源のほとんどは騒音を伴うものが多いのですが、中にはそうでないものもあり発生源を特定することが難しい場合もあります。
振動には環境基準の規定はなく、1976年に「振動規制法」が制定され、「工場・事業場振動の規制」、「建設作業振動の規制」、「道路交通振動の規制」に分類されそれぞれ鉛直方向(Z方向)のみ規制されています。
現地測定で得られた振動レベル(Lv)(振動感覚補正を加えた値)からL10値(80%レンジ上端値)を算出し評価値とします。
【ムラタの取り組み】
- 豊富な実績と経験
ムラタでは、創立当初から続けてきた豊富な経験と実績を活かし、振動の調査及び結果評価をご提供しています。特殊な場面の測定についても、ご相談ください。ムラタの経験と技術が、きっとお役に立てると思います。
- 最新の機器
従来の記録紙への記録測定に加え自動演算機能を有した機器を活用しての現地測定及び迅速なデータ処理をご提供しています。
- 1/3オクターブ分析の活用
現地調査で得た振動加速度レベル(Lva)をもとに1/3オクターブ分析を行い、地盤卓越振動数などをもとめます。
【測定機器】
- 振動レベル計
振動公害や職場環境問題などにおいて地面、床などの振動測定を目的とする振動レベル計です。人体の振動感覚を加味した鉛直、水平方向の振動レベル測定のほかに、補正を加えない振動加速度レベルを測定することができます。内部演算処理をメモリーできるものを当社の主力として使用しています。
- レベルレコーダー
騒音、振動のレベル記録に使用されるペン型記録計です。ペン速度動特性を切り替えることにより騒音計、振動レベル計のメーターと等価に応答し変動速度の大きい現象でも的確にとらえて記録することができます。
【用語解説】
- 振動レベル(Lv)
振動加速度レベル(Lva)に人間の振動感覚補正(振動感覚補正特性)を加えたものです。通常の環境測定で用いられます。
- 振動加速度レベル(Lva)
振動の物理的なエネルギーの大きさ。1/3オクターブ周波数分析などを行う場合に用います。
- L10
振動レベルの80%レンジ上端値。測定した振動レベルを下から順番に並べ、上下10%ずつを除いた高いほうの値です。
- 地盤卓越振動数
車両走行時の最大ピークを示す周波数帯。地盤の硬さの指標になり、値が低いほどその地盤は軟らかく、高いほどその地盤は硬いとされます。道路交通振動の予測などに使用されます。
【関係法令】
- 環境省 振動対策について(環境省HP)
- 振動規制法(e-Gov法令データ提供システム)