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日照阻害

【日照阻害とは】

  • 日照阻害とは、建物や高架道路等の日影によって居住空間や植物・農作物が受ける影響のことです。なお、日影には「日影」と「日陰」という表記方法がありますが、ここでは環境アセスメント業務などで通常使用される「日影」という表記を用い、損害等に係る費用負担の通知の名称のみ原文のまま「日陰」という表記を用います。
  • 日照時間の減少による人への健康影響や、照明時間、暖房時間等の増加による光熱費の増大、農作物の生育阻害等が問題になります。
  • 日照阻害では、日照阻害問題に対応するため、建築基準法において一定規模以上の建築物は日影に対する規制基準内での計画を義務付けています。
  •  高架道路などの公共施設については「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担について」の中で、公共施設の設置により生ずる日影の影響に対して「社会生活上受忍すべき範囲」(いわゆる受忍限度)を設定し、これを超える影響に対して費用負担をする基準が定められています。
  • 都心部では単体の高層建築物の影響だけではなく、複数の構造物による複合的な影響を受けることが考えられるため詳細な調査が必要となることがあります。


【日照阻害問題の変遷と動向】

 昭和40年中頃以降中高層建築物の急増に伴い、日照問題が発生するようになりました。日照阻害問題は建築基準法違反が関係するケースも多く見られます。一方で建築基準法は都心部での高密な開発に対応するために時代に応じた基準を柔軟に盛り込んでいます。このため、都心部の商業地域等におけるマンション等の日照阻害対応は地域の実情に合わせた様々な対応を考慮する必要があると考えられます。

  • 平成10年の建築基準法の改正(第9次改正)
    住宅居室での採光の規定の緩和や住宅内の日照確保規定が廃止されました。
  • 平成14年の建築基準法の改正(第10次改正)
    「確保される採光、通風等の指標として天空率を定義する」、「日影規制について、第一種中高層住居専用地域等において、日影時間の測定を行う平均地盤面からの高さとして6.5mを追加する」という規定が追加されました。


【ムラタの取り組み】

 ムラタでは、時刻別日影図等時間日影図天空写真天空図などを用いた調査・予測手法を利用し、日照阻害問題に対する取り組みに貢献しております。
 また、関係住民の方々に対して、構造物による日影の影響や対策などを、より理解を得やすい形で説明するためのプランのご提供をいたします。

  • 日照阻害に対する基本的な考え方
     日照阻害の調査・予測では太陽の高度や方位、高架構造物の設置位置や高さなどから影響範囲を求めます。このため、精密な構造物の情報などが得られていれば、精度の高い日影範囲を得ることができます。
    一方で日照の問題は住民にとって非常に重要な関心事であるため、精度の高い調査結果とともに、より分かりやすい形での結果の提示が信頼関係を構築する上で重要となります。

  • 時刻別日影図
    時刻別日影図 毎正時における建築物の日影が及ぼす範囲を示した図となります。何時頃に日影の影響を受けるかを知るのに適しています。
  • 等時間日影図
    等時間別日影図  建築物の日影の影響を受ける時間が同じとなる点を結ぶことで作成する図面となります。4時間の等時間線の範囲に囲まれた地域内は4時間以上日影になるということを表します。1日の中で何時間日影の影響を受けるのかについて知るのに適しています。なお、日影図による検討は、一般的に最も日影が長くなる冬至について行います。
  • 天空写真
    天空写真 天空写真とは、魚眼レンズを装着したカメラを天頂に向けて撮影したものになります。現況を示した天空写真に計画事業の構造物及び夏至、冬至等の太陽の軌跡を書き入れます。写真の中に写っている既存の構造物や事業計画の構造物と太陽の軌跡が重なっているところが日影になる時間です。座標情報などから計算したものではなく実際の現地の情報を得ることができるため、計画事業の構造物以外に現状で何が日影の要因になっているかを知ることができます。
  • 天空図
     座標情報をもとに、天空写真と同じような図をCGで作成します。天空写真と同じ解析結果を得るには周辺の構造物等の測量結果が必要ですが、天空写真と違い実際に現地に入らずに作成することができます。

  • 関係住民の方々への説明
     調査・収集した資料を用いて、住民の皆様へ分かりやすいご説明を行います。

【関係法令等】


【関連WEBサイト】